隠蔽捜査・果断 隠蔽捜査2 読書日記5
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隠蔽捜査 (新潮文庫 こ 42-3) 著者:今野 敏 |
「隠蔽捜査」 今野敏 ☆☆☆☆☆
警察キャリアが次のような意見を言ったとしたらあなたはどう思うだろうか。
A.『東大以外は大学ではない』
B.『国家公務員は普通の国民ではなくエリート』
当然これだけを聞くとあまりお近づきになりたくない人物にしか思えないだろう。
しかし同時にその人物はこうも続ける。
a.『東大には日本の最高の英知と技術が集中している。東大に入るだけで出来ることが格段に増えるんだ。それを利用しない手はない』
『人生のためにあらゆるものを利用しないと損じゃないか。利用するなら、最高のものを利用したほうがいい。東大はそのための一つの条件に過ぎない』
b.『エリートである国家公務員には特権があるとともに当然大きな義務もつきまとう』
『国家を守るべき国家公務員が楽を出来るはずがない』
『警察官である以上、有事には真っ先に死ぬ覚悟をしている』
ここまで聞くと最初とはかなり違った印象を受けるのではないか。
これらの考えにしてもその正誤は別にして、何らかの首尾一貫したものを感じはしないだろうか。
その人物の中ではこの考えは正しく、正しいものである以上実践するのが当然であり、ゆえに警察庁という職場において実践している。
法律に基づき不正や隠蔽を一切行わず、警察職務に忠実であらん、と。
ところが最近の警察不祥事を挙げるまでもなく、こういった考えとその実践は周りの人間には理解されない。
だから職場では「変人」と、妻からは「朴念仁」と称される。
こういった人間を関西弁で「ヘンコ」という。
そんな「ヘンコ」な警察官僚・竜崎伸也を主人公とした警察小説が本作である。
この作品はゴツゴツとした特徴的で無骨な文体で書かれており、少し違和感があるかもしれない。
しかし読み進めてゆくと、この文体が竜崎の内面描写と見事にシンクロし始め、いつの間にか読者はより深い作品世界に浸っていることに気付くはず。
常に原理原則を優先し、正論を吐くことを恐れず突き進む愚直な求道者のごとき竜崎。
そんな彼だからこそ、クライマックスで行う2つの「決断」に深い感動を覚える。
内容については言及しません。
しかし、間違いなく警察小説の傑作であり、今野敏にとっては一つの到達点になった作品。
是非手にとって確かめていただきたい逸品です。
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果断―隠蔽捜査2 著者:今野 敏 |
「果断・隠蔽捜査2」 今野敏 ☆☆☆☆☆
『職場が変わったからといって、生活の慣習が変わるわけではない。竜崎伸也は(中略)まったく変わらない朝の儀式を続けていた』
冒頭に掲げられたこの一文を読んで思わずニヤリとしてしまう。
戦う“ヘンコ”な警察キャリア・竜崎伸也の再登場だ。
今回も強盗に端を発した事件が見せる意外な展開、そして副署長貝沼や前作にも登場した戸高が見せる思わぬ一面、と構成、人物造型とも唸るほど旨い。
中でも最大の読みどころは竜崎の「決断」。
今回彼が行う決断はどの場面においても厳しく、彼を失脚させかねないものばかり。
しかし竜崎は事件解決を最優先基準とし、原理原則を重視して己の保身を一切無視し決断・行動してゆく。その姿はタイトル通り『果断』である。
もっとも竜崎に言わせれば「国家公務員として当然の事を行っているだけであり、何故『果断』と評されるか理解できない」と首をかしげるだろうが(笑)
管理職という立場から旧来の硬直した警察システムに立ち向かう竜崎の行動規範は、立場は違えど一警察官という立ち位置で孤軍奮闘する『新宿鮫』シリーズの“鮫島”と共通するものがある。
そして計らずも鮫島が弾き出された官僚組織内にギリギリ踏みとどまり己の本分を貫かんとする竜崎を描く本シリーズは『新宿鮫』と同レベルの高みまで到達したのではないだろうか?
今野敏の作品内でもそして、警察小説というジャンル内でも屈指の完成度を誇る本シリーズ。読んで後悔はさせません。
次回作も非常に楽しみ。
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コメント
TBどうもでした~♪
今野敏さんって、現場の警官を描くのが上手いと思うんですよね。
ハルキ文庫から出てるベイエリア分署シリーズなんか好きだし、
「リオ」、「朱夏」もお薦め!
投稿 はっち | 2008年2月 4日 (月) 07時19分