時間のかかる彫刻・壊れた少女を拾ったので 読書日記13
著者:シオドア・スタージョン
時間のかかる彫刻 (創元SF文庫)
販売元:東京創元社
Amazon.co.jpで詳細を確認する
『時間のかかる彫刻』 シオドア・スタージョン ☆☆☆
“幻の作家”、“奇想天外な発想をする天才作家”、と聞かされてきたスタージョン。
実は本書がスタージョン初体験なので、どれだけ凄い作品を読ませてくれるのかと期待に胸を膨らませてページをめくる。
…う~む。
期待値が高すぎたせいなのか?
いや面白いけど取り立てて騒ぐほどの作品?
確かに、トイレットペーパーが“目打ち”どおりに切れにくい事から、世界を一変する未知の物質を製造する理論を生み出した愛すべきおバカSF『〈ない〉のだった―本当だ!』というような大傑作もあるし、他の作品も十分オリジナリティ溢れる話ではあることは認めるけれど、なぜか今一つ乗り切れない。
思うんだが、スタージョンの話はどれも饒舌に語りすぎやしないか?
もちろん『ここに、そしてイーゼルに』の様に、その饒舌さが作品に相乗効果を与えることもあるが(『2001年宇宙の旅』のスターゲートを思い起こさせる目まぐるしい場面転換は圧巻!)それ以外は全てクドく感じるし、どうもこのクドさは私には合わない。
とりあえず文庫で他の作品も読むことにしよう。これ一作で評価を下すのはまだ早いだろうし。
![]() |
壊れた少女を拾ったので (角川ホラー文庫 123-2) 著者:遠藤 徹 |
『壊れた少女を拾ったので』 遠藤徹 ☆☆☆☆☆
先がまったく読めない物語、私がスタージョンに期待したのはこの手の話なのだが、この期待に答えてくれたのが遠藤徹。
デビュー作『姉飼』でも明らかなように、その発想には非凡なものがあり、本作でもその力を惜しみなく発揮している。
近未来SFとスプラッタホラーを融合させた『弁頭屋』(弁当箱の正体が明らかになる箇所の唐突さが見事)、シュールで笑える異種間恋愛SF『カデンツァ』、デビュー作に近い粘着質溢れる描写が味わい深い表題作『壊れた少女を拾ったので』、たった24ページで世界の終末を描ききる『桃色遊戯』と、どの作品も読み応え十分。
収録作の中で私が一番気に入ったのが『赤ヒ月』。
ある禁忌がテーマなのだが汚さを全く感じさせず、むしろ官能的。
クライマックスの宴は『ソドムの市』か『2000人の狂人』か。
そこで描かれる“狂宴”はグロテスクながらも非常に美しくてエロティック。退廃的な美しさというのはこういう作品のことをいうのでは?
平山夢明よりはマイルドだが、刺激的で猟奇的そして奇想あふれる作品を生み出す才能には脱帽。
デビュー作『姉飼』と共に一読をオススメする奇譚集。 是非!
遠藤徹のデビュー作『姉飼』はこちら!
![]() |
姉飼 (角川ホラー文庫) 著者:遠藤 徹 |
| 固定リンク
「え 遠藤徹」カテゴリの記事
- 時間のかかる彫刻・壊れた少女を拾ったので 読書日記13(2008.02.15)
「ス S・スタージョン」カテゴリの記事
- 時間のかかる彫刻・壊れた少女を拾ったので 読書日記13(2008.02.15)



コメント